はじめに
新卒で入社したJTC1を退職しました。新しい仕事も落ち着いてきたので、思い出話を書こうと思います。よければ読んでください。ポエムや自分語りに終始してしまう可能性が大きいので、苦手な方は読まない方がいいかもしれません。
学生時代
この章の自分はアホみたいに意識が低く、書いていて悲しくなりました。
あの頃
某大学の大学院に通っていた私は悩んでいました。研究もそんなに進んでないのに、就職活動をしなきゃいけないのです。でも、将来何がしたいかはわからないのです。教員免許は取得見込みだけど、教員は向いていないという自負がありました。
好きなことに関連する仕事ならいいのになあとは思っていました。昔からサッカーが好きでした。そんな中見かけたのが以下のような記事です。
ITってなんか格好よさそうだし、どこの業界でも使われてそう2だし、最近はスポーツにも活用されてるんだなあ。そう思った私はIT業界に興味を持ちました。
就職活動
IT業界に興味があると言っても、専攻は非情報系だし、プログラミングも授業でC言語をほんの少し触っただけ3でした。だからできるだけ入社後の教育が充実してそうなところがいいなあと考えていました。
また、†自己分析†の結果好奇心旺盛(=飽き性)だと言うことが判明したので、事業範囲が広い会社、転職したいとなったときに経歴として強そうな会社を希望しました。
いくつかもらった内定の中から、当時の自分に合いそうな会社を選んで、無事就職することができました。さすがにこのままじゃ生き残れないと思ったので、内定受諾から入社までの間に基本情報技術者は取得しておきました。
社員時代
新人研修
初めは同期と寮生活をしながら、たくさんの優秀な同期と一緒に長期間の新人研修を受けました。人事に歯向ったり、外部講師に歯向ったりしながら、無事研修を終えました。
配属
当時はデータ利活用とかいう言葉が流行っていたし、サッカーxデータ活用みたいは話に強い関心があったので、データ分析スキルがつきそうな部署を希望しました。しかしそれは叶うことなく、クラウドをやる部署に配属されました。
当時はクラウドコンピューテングってそもそも何かよくわかっておらず、配属面談で偉い人にクラウドについて教えてもらいました。偉い人になるだけあって、とてもわかりやすく解説していただき、ありがたかったです。この方がどれくらい偉いかは、実際配属されてからわかるのですが、皆さんが想像する倍は偉いと思います。
仕事
配属後は、退職まで一貫して自社のITサービスの設計開発などを行うことになります。結局、SIのような客先常駐はありませんでした。初めのうちはインフラエンジニア(サーバーエンジニア?)のようなことをして、そのうちサービス内容やシステム、運用も考えるようになりました。上流工程から関わるようになっても、協力会社の方に丸投げして進捗管理のみ行うという業務はほとんどなく、自分自身で手を動かして検証・構築まで担当することができていました。とても幸運でした。
きっかけ
自社サービスの設計開発の仕事をしていると、AWSやGCPのようなパブリッククラウドに興味が出てきます。また、Ansible
やTerraform
、Docker
、Kubernetes
といったOSSも気になります。技術動向とか他社事例にキャッチアップしておく必要がありました。
そこで情報収集のためにTwitterアカウント(@iamnishipy)を開設しました。Twitterには色々なエンジニアの方が多く生息していて、とても刺激になりました。さらに業務後に外部の勉強会に参加するようになりました。自分が使いこなせていないパブリッククラウドやOSSについて、他社でのキラキラ事例を聞くのが楽しくもあり、悔しくもありました。
パブリッククラウドやOSSを実際に業務で使い始めたのは、それから間も無くのことです。手順書はAnsible
プレイブックにしました。AWSのリソースはTerraform
で管理しました。Docker
やKubernetes
を使う機会もそこそこありました。どれも便利で面白い製品・ソフトウェアで、クラウドやコンテナの領域で専門性をつけていきたいと思うようになっていきました。
詰まるところ、もっと技術力身に付けてえ〜強くなりてえ〜という気持ちがどんどん強くなっていったわけです。しかし、一般的な日系大企業では、スペシャリストよりもジェネラリストになることを求められます。実際この時期、次のプロジェクトでは自分がマネジメントをやることになりそうな雰囲気をひしひしと感じていました。このギャップが、転職を考え出した大きなきっかけの1つです。
前職の特徴
あくまで私が勤めていた会社の、私の経験にもとづくお話です。ご注意ください。
よかったところ
残業が少なく、裁量もある
1ヶ月10時間もありませんでした。そのおかげで、早めに帰宅してから自己研鑽に充てる時間がたっぷりありました。何年か経つと裁量労働制に移行したので、時間に縛られることなくさらに働きやすくなりました。
ただし、これは配属ガチャによるところが大きいです。私は強運の持ち主でしたが、常駐するようなポジション、SIビジネスを担うポジションだと、残業や裁量という点で融通が効きにくい場合もある印象です。
人間関係が良好
ワークライフバランスも良く、金銭的にもそこまで切迫していないからか、人間的にちゃんとしている人がほとんどでした。学生時代にイメージしていたようなドロドロした感じも全くなく、程よくフレンドリーで相談しやすい、協力的な方が多かったです。何もわかってないくせに生意気な自分を暖かく見守っていただき、楽しく働くことができました。
休みが多い
労働組合が強いというのもあり、休みはまじで多いです。年間150日くらいあるのかな?GW10連休、お盆10連休、年末年始10連休の他にも、普段から計画的に有給を使っていたため、退職直前に消化する有給休暇はほぼ残っていませんでした。社員数が多いと、良くも悪くも業務が人依存になりにくく、休みは取りやすいと思います。男性の育児休暇取得も、近年増えてきているようです。
休みをとってもカフェで本を読んだり勉強していることが多かったですが、今思えばもっと旅行とか行っておけばよかったかなと思います。
手当てが多い
住宅手当、配偶者手当、子育ての手当などは、他の日系企業と比べても充実しています4。私は独身なので、住宅手当の恩恵しか受けていませんでしたが、ライフステージが変わるにつれて手当ても増えていくようです。実際同期や同僚をみていると、結婚してたり、子どもがいる人で辞める人は少ないと感じます。
合わなかったところ・気になったところ
PCスペック
部署(研究所など)や上司によっては、高スペックなThinkPadやMacbookを使える場合もありますが、基本的にThinクライアント低スペックなマシンで作業することになります。だいたいすべての業務にストレスを感じるくらいにはひどいものでした。開発や検証を行うのに無理があったので、まともなマシンに変えて欲しいと上長に頼みましたが、私が在籍しているうちに実現することはありませんでした。
限られたキャリアパス
「きっかけ」のところでも書きましたが、日系大企業のほとんどにはスペシャリストのまま昇給・昇格していくキャリアパスはありません。少なくとも私の経験では聞いたことがありません。出世するにはプロジェクトマネージャーのようなポジションに就くしかなく、部署間や顧客間、偉い人との調整を行う、マネジメント業務が中心になります。いわゆる中間管理職というやつです。とても重要な業務だと思いますし、やりがいもあるのでしょうが、私はやりたいと思えませんでした。
そう考えた最大の要因は、私に「専門性」がないからです。情報系出身でもないし、趣味でプログラミングやサービス開発をしているわけでもなく、自信を持って得意だと言えることがありませんでした。そういう状況でマネジメント中心の業務に移っていくのは、私には違和感がありました。端的に言えば、自分の「偽物感」が払拭できなかったのです。会社や部署レベルで見るとLinuxやOSSやクラウドをちょっと触れるけど、世の中的にはまだまだ技術的に未熟だし、成長の余地があるように思いました。Twitterや外部の勉強会がなければ、それに気づくことはできなかったので、外の世界を見るのは大事だなあと実感しています。
転職活動
転職活動の時期に書いていた日記がありますので、よければご覧ください。
現職
今は別の会社で楽しく働いています。業務内容も給与も福利厚生も含め、いまのところ全く後悔はありません。
ちなみに私の仲の良い同期は結構転職しているのですが、辞めた後みんな笑顔を取り戻していて、後悔していると言う声はきいたことがありません。
さいごに
この記事で言いたかったのは、日系大企業に新卒就職するな!ということではまったくありません。いまの自分があるのも、前職の安定した労働環境や親切な方々のおかげだと思っていますし、感謝しかありません。
一方で、長期的に見ると向き不向きはあるというのも事実です。就活生の頃やりたかったことと、社会人5年目10年目にやりたいことは違うはずです。どうせ終身雇用だから〜と言って、その違いから目を逸らさず、思い切って行動してみるのもよいということです。やりたいことやれている場合や、ワークライフバランスがよい、子育てしやすいという理由からから、ずっと働き続けるというのももちろん素晴らしいと思います。こういう前向きな選択を柔軟にできるのは、大企業の特徴です。
いずれにせよ終身雇用が永遠に続くわけはない5ので、外の世界を意識して、自分のレベル感や立ち位置を把握しておくのは重要だと思います。これを怠ると、自分を過大評価したり、過小評価したりすることになってしまいます。悩んでる人はとりあえずこの本をお勧めします。
付録 – おすすめの退職(?)エントリ
以上.
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